北朝鮮のミサイル(水爆)の威力や個人で可能な避難対策とは?

この記事では、北朝鮮のミサイル(水爆)の威力や個人で可能な避難対策についてまとめていく。

ご存知の通り、2017年9月3日に朝鮮中央テレビは「ICBM搭載用の水爆実験に成功した」と報道した。

報道自体は実験が成功してから約3時間後に行われたという。

この報道が本当ならば、本当に最悪な状況である。もちろん、水爆の威力によって被害想定も前後するが、水爆は本当にマズい。

まずは、「水爆とは一体何なのか」といった部分から見ていこう。

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原爆と水爆の違いについて

仕組みと原料が違う

核兵器で良く聞くのが原爆だと思う。

まず初めに、この原爆と水爆について確認しよう。
この原爆の原料となっているのがウラン(235)とプルトニウム(239)である。

  • 長崎に落とされた原爆は「プルトニウム型」
  • 広島に落とされた原爆は「ウラン型」

どちらも起動させるために「核分裂」を起こす必要がある。この核分裂が起こった時のエネルギーを利用した爆弾というわけだ。

ウラン型・プルトニウム型の核分裂が起こるメカニズムに関しては割愛させていただく。

そして、水爆。
原爆が「核分裂」なのに対し水爆は「核融合」を利用した物である。

名前の通り、水素(重水素・三重水素)をエネルギー源としているが、水爆を起こさせるためには水素核を融合させる必要がある。

※水爆の容器にはウラン238も使われている

  • 原爆⇒プルトニウム/ウランの核が分裂したときに生じるエネルギーを利用
  • 水爆⇒水素核がくっついた時に生じるエネルギーを利用

言葉では簡単に”くっつく”と表しているが、水素核が融合するには膨大な”熱”と”圧力”が必要なのだ。

  • 水素ガスの温度を1億℃
  • 圧力を大気圏の1千億倍

まぁ普通では、考えられない程の温度・圧力を必要とする。どんなに頑張って燃料を燃やしてもそんな温度にはならないし、想像もできないような圧力も必要だ。

これを解決するために「核分裂」を利用したのである。つまり、原子爆弾を利用したわけだ。

原子爆弾が放つエネルギー(熱・圧力)を利用して、水素核を融合させる。核分裂によって発生したエネルギーが次第に多くの水素核を融合させていき、最終的により膨大なエネルギーを生み出す。

核融合によってエネルギーを発生させているわけだが、もとをただせばトリガーは原爆なのである。

かなり大ざっぱだが、これが水爆の仕組み。

次は「原爆と水爆の威力の違い」について見ていこう。

【原爆と水爆】威力の違いとは?

結論から言うと、原爆よりも水爆のほうが凄く威力が高い(小並

両者の威力を比較した場合、水爆は原爆の数千倍のエネルギーを発生させる。

なぜ水爆は原爆よりも威力が大きいのか…という疑問は、上記で記載した水爆の仕組みを見ればすぐに理解して頂けると思う。

原爆は核分裂を起こして爆発させるわけだが、水爆の場合は”核融合による爆発”に加えて、トリガーとなる”ウラン235の核爆発”…

忘れてはいけないのが”ウラン238″の存在。上記で少し触れたが、爆弾の容器としてウラン238が使用されている。

つまり、「水素爆発+核爆発+ウラン238の爆発」これらが重なる(ほぼ同時に爆発が起こる)ことで原子爆弾と比較にならないレベルのエネルギーが生まれるというわけだ。

人体への影響について

正直、水爆が人体へもたらす影響は筆者は分からないので(ごめんなさい)適当な事は言えないが、原爆がもたらす影響を見て考察していく。

原爆に関しては

  • 爆風⇒50%
  • 熱線⇒35%
  • 放射線⇒15%

このようなエネルギー分布と言われている。

爆風・熱線

まず、原子爆弾が着弾した際にどういった事が起こるのか。

爆発が起こることで、”爆風”ならびに”熱線(赤外線)”によって、様々な物が破壊される。

原型を想像することも出来ない状態。さらには、着弾点に近ければ近いほど爆風や爆風などで物理的に被害が出るだろう。

(長崎・広島の場合、着弾半径1.2km以内による被害内訳は爆風が20%・熱線+二次災害が20%)

放射線

そして”放射線”。

急性放射線症・腸管障害・白血病・癌…などを発症した例がある。

放射線を浴びることによって人体に多大な影響が出る。上記の例もそうだが、遺伝的影響も十分考えられる。

染色体異常、遺伝子の突然変異などにより、親とは異なる形質が子供に現われる…といった物だ。

※突然変異

アメリカの研究では、ハエにエックス線を照射⇒羽が短い個体・体の一部の色が異なる個体が生まれる…といった結果が出ており、これを”遺伝子の突然変異”と発表している。

広島長崎でも母親のおなかの子供にまで放射線が影響する”胎内被爆”を受けたケースがある。(爆心地から半径2km以内では1100人ほどに及んだ)。

内部被ばくをしたと思われる子供たちを検査(追跡調査も行われている)したところ、小頭症や発育遅延と原爆放射線には関連があるとされている。

よく耳にする「がん発症のリスク」だが、確かに成人後に検査したところ、がんのリスクが上昇していたようだ。ただ、発症者自体は少ない。

黒い雨

「爆発すると大量の放射線を浴びる」といったイメージが強いと思う。確かに爆心地に近ければそれだけ危険だ。

だが、原爆が落とされた当時は、目に見える形で恐ろしい事が起きていた。

原爆が着弾すると爆発するわけだが、上空数百メートルまでキノコ雲が出来る。
長崎・広島では、上空500メートル以上の地点で爆発⇒地表にガンマ線・中性子が飛散。

凄く簡単に説明すると、これによって地表にある物質は放射性崩壊を起こす能力を持ってしまった(中性子線によって放射化された。つまり放射性同位体となった)。

そして、原爆が爆発したことによって高熱が発生⇒上昇気流が発生⇒地上にある煙とか粉塵(放射線を含む)を取り入れて上空へ。

結果的に、上空でそれらが冷やされて雨になり、人間に降り注いだ。

炭素や鉄、ウランなどを含み、黒く粘り気のある雨。

これが「黒い雨」である。

前述したように、放射線を含んだ物質が含まれているため、当然黒い雨は人体に影響を与える放射線を含んでいる。

この雨を受けた人間は、「急性放射線障害」(吐血・脱毛・白血病など)を発症。

東日本大震災では、震災の影響で原発がメルトダウンならびにメルトスルーといった事態に陥ったが、近隣住民や福島県に住んでいる人間に対し、健康面をはじめとして色々と問題が生じた。

もし、日本に水爆攻撃された場合、被害は甚大…とかいうレベルでは済まないだろう。

東京が狙われたとしても、確実に被害は東京にとどまらないはずだ。

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北朝鮮が実験成功と報道してる水爆の威力とは?

非常に前置きが長くなってしまったが、「北朝鮮が成功した」と報道している水爆の威力について考えていこう。

上記の前書きを読んでくれた方は、何となく理解したと思うが、ハンパじゃない威力だ。

残念ながら北朝鮮が完成させたとみられる水爆の正確な威力や種類などは明かされていないので、アメリカが1952年にアイビー作戦で使用した「Ivy Mike」と最大威力の水爆「ツァーリボンバ(AN602)」を仮定して話していく。

  • Ivy Mikeはアメリカがアイビー作戦で使用した水爆
  • ツァーリボンバは、旧ソ連が作った水爆。

ツァーリボンバの威力はアメリカが保持している「B61」よりも威力が高い。

  • B61⇒約340[kt]
  • Tsar Bomba(ツァーリボンバ)⇒50[mt]※kt⇒TNT 1,000[t]
    MT⇒TNT 1,000,000[t]

アメリカがアイビー作戦(マイク実験)で使った「Ivy Mike」と比べてみると

  • Ivy Mike⇒12[mt]
  • Tsar Bomba(ツァーリボンバ)⇒50[mt]※kt⇒TNT 1,000t
    MT⇒TNT 1,000,000t

ツァーリボンバは極端だが、一応これも含めて見ていこう。

前述したように、爆発した際のエネルギーは原子爆弾の数千倍。

北朝鮮がIvy Mike並の水爆を完成させた場合

仮に北朝鮮がIvy Mikeに匹敵する(12mt)くらいの水爆を完成させた場合の話だが、一応海外の「Ground Zero」というサイトを使って被害範囲を予想すると

このようになる。
※着弾した場所を「東京都庁」と仮定した場合。

東京はもちろん、神奈川・千葉・埼玉・茨城にまで確実に被害は及ぶ。

北朝鮮がツァーリボンバ並の水爆を完成させた場合

そして、北朝鮮が仮に人類史上最大威力のツァーリボンバ(50mt)並のエネルギーを持った水爆を完成させた場合、被害予想はこのようになる。

※着弾した場所を「東京都庁」と仮定した場合。

北朝鮮が完成させた水爆が、仮にツァーリボンバ・Ivy Mike並の威力をもった水爆だった場合、着弾した都道府県はほぼ壊滅する可能性が高い。

【追記】アメリカへの対抗策?EMP使用も視野に

北朝鮮によると、上空でミサイルを空中で爆発させ、電磁パルスで広範囲に広範囲に攻撃することも可能だという。

このEMPとは、「Electromagnetic Pulse」の略称であり、範囲内に存在する電子機器の回路を焼くことが出来る。

PC、スマホ、車などなど、基本的に電子回路が使われている端末、機械は全て使用不能になる。

高空でEMPを使うことにより、アメリカの電子誘導武器ならびに空母打撃群を一層することが実質可能。つまり、北朝鮮が先手を打てた場合、かなり有利に事を進められる。

もちろん、軍関係の機器や特殊車両はEMP対策をしているとは思うが、国全域に効果があると仮定すると水爆に加えて大きな脅威になるのは間違いないだろう。

 

先日、経済制裁に関してトランプ氏は発表していたが、北朝鮮と繋がりがある国は自分達もあるわけで、そこまで都合よく行かないようにも感じる。果たしてどうなのか。

個人でも可能な避難方法・ミサイル対策

つい最近、Jアラートが鳴ったわけだが、鳴ってから約5分以内に安全な場所()に避難するように…といった情報が流れた。

核弾頭を積んでいないミサイルだったとしても、当然ながら爆風は発生するし、悲惨な状況になるのは目に見えている。

いくらPAC3で撃ち落としても、破片やら何やらでケガ人は出るだろう。

まず「Jアラートが鳴った時にするべきこと」といえば…

  • 頑丈な建物に入る(地下が望ましい)
  • 建物内に居た場合は窓ガラスから離れる
  • 外に居る場合は頭部を守る

頑丈な建物に入る

頑丈な建物と言われても正直ピンと来ないと思うが、Jアラートが鳴ったら、とにかく身を防げる場所に移動することが重要。

地下があるお店や駅なども有効と言われている。

頑丈な建物といっても、家の近くにそういった建物が無かったらどうしようもないが、意外にも外に居ても身を守る場所はあるので、以下の項目で確認してほしい。

窓から離れる・外にいる場合は頭部を守る

地方に住んでいる方は結構難しい気がするが、外にいたとしても「用水路」・「道の端にある溝の中(水が流れているアレ)」などに体全体を隠すことで被害を抑えることが出来る。

夏前に新潟で行われた対ミサイル訓練では、農業の方を中心に用水路が使われていた。

また、「窓ガラスから離れる」に関してだが、これは爆風や着弾の衝撃で、窓ガラスが割れる。割れた瞬間にガラスの破片が一気に内側に吹っ飛んでくるため、窓ガラスから離れるだけでなく、雨戸があればそちらを閉めるのも有効。

いたるところで目にしたが、重要なのは日ごろからJアラートが鳴った時の事を想定することだという。

避難場所などをあらかじめ決めておいて、最悪の場合に備えることが大切。それは分かっているが、いざアラートが鳴ってみると実感が湧かないし、ただただニュースの速報を見ることしかできないのが普通だと思う。

会社で仕事をしていた場合は、割とどうすることも出来ないわけで。

平和的に解決してくれることが一番だが、水爆が完成した…なんて言ってる時点でもう来るとこまで来たなという感じですね。

とにかく今は日本の対応、北朝鮮ならびにアメリカの反応を見ていきましょう。

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